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¥4,600,000 (Direct Cost: ¥4,600,000)
Fiscal Year 1991: ¥4,600,000 (Direct Cost: ¥4,600,000)
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Research Abstract |
これまでの研究から,癌患者の血清中にはガラクト-ス転移酵素(Gal Tase)活性が高頻度に検出されること,この酵素はGal β1ー4GlCNACの合成に関与するミルクのGal Taseと酵素学的に同じであることを明らかにしてきた。また,糖脂質認識モノクロ-ナル抗体を用いるELISA法によってGal Tase活性を簡便に且つ特異的に測定する方法を確立した。しかし,癌の早期発見にはさらに高感度に酵素活性を測定することが必要となった。このためペルオキシダ-ゼ標識二次抗体にかえて,ユ-ロピウム標識二次抗体を用いた時間分解蛍光免疫分析法を導入した。この方法は蛍光保持時間の長いユ-ロピウムの励起光のみを選択的に検出するためバックグランドを低く抑える利点がある。この結果,酵素活性の検出限界は0.2pmolとなり,ELISA法に比較して感度は25倍に上昇した。この方法を用いて,これまでELISA法では検出限界付近にあった癌患者血清の酵素活性を測定したところ,これらの検体には明確な測定値が得られGal Tase活性測定による癌の検出感度が上昇することが明らかとなった。このことはこれまで報告してきた癌診断におけるGal Tase活性測定の有効性を再確認するとともに,ユ-ロピウムを用いた時間分解蛍光分析法の導入が癌診断に極めて有用であることを示している。 次に,Gal Taseが癌細胞から放出されていることを明らかにする目的で癌細胞の培養液中の酵素活性を本法を用いて測定した。その結果,癌細胞がGal Taseを放出している様子を培養時間の経過とともに測定することができるようになった。このことは癌の転移や細胞間相互作用におけるGal Taseの意義を明らかにするうえで大きな意味をもつと思われる。
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