レトロウイルス外膜蛋白活性化プロテア-ゼの発見と、その阻害剤による感染阻止
Project/Area Number |
03152090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (50144978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大下 健幸 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (30185243)
勝沼 信彦 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50035375)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
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Keywords | レトロウイルス / エイズ / プロセシングプロテア-ゼ / 外膜蛋白前駆体 / セリンプロテア-ゼ |
Research Abstract |
癌ウイルス,エイズウイルスを始めとするレトロウイルスの外膜糖蛋白は、いずれもリボソ-ムで前駆体として合成された後、宿主細胞のゴルジ膜で限定分解を受け小胞体ーゴルジ装置系を通って細胞膜へ選択的に運ばれることが知られている。この限定分解が阻止されると、ウイルスは不完全ウイルスとなり感染性を失う。我々は、CD4陽性人Tリンパ球球膜分画より、ゴルジ膜あるいはERに局在するHIVー1の外膜蛋白前駆体活性化プロテア-ゼの精製に成功した。本酵素は、HIVー1外膜蛋白前駆体gp160をgp120gとgp41に変換する分子量25kDaのトリプシン型セリン性プロテア-ゼで、活性基のセリンを持つ。本酵素はgp160を基質にすると、pH6.5ー7.5に至適pHを示した。本酵素はgp160のシ-クエンスの中で、ーArg^<508>ーLeuーLysーArg^<511>ーを認識してArg^<511>の後を選択的に切断した。この切断部位のシ-クエンスーArg(Lys)ーXーArg(Lys)ーArgは、殆ど全てのレトロウイルス外膜糖蛋白前駆体の切断部位に認められる一次構造である。本酵素の活性は、人やマウスの種々のT細胞以外に、B細胞、単球、HeLa細胞、血管内皮細胞に認められ広くレトロウイルスの感染に関与していると思われる。本酵素は、これまでに報告のあったDibasicの基質を特異的に分解するKex2ファミリ-のプロテア-ゼと異なり、金属非要求性でEDTAは活性に影響を与えない。またDFPに対する強い感受性を示すが、トリプシンに対する代表的な低分子インヒビタ-のロイペプチンやアンチパインで活性が全く阻害されない。以上の事から、本酵素は基質の一次構造だけでなく高次構造を認識し、高い基質特異性を示す酵素で、インヒビタ-についても高い選択性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)