グリア細胞増殖抑制因子(GGIF)の抗腫瘍作用機構の解明とその臨床応用への可能性
Project/Area Number |
03152113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 泰治 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60094364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70212462)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 1991: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Keywords | グリア細胞増殖抑制因子 / グリオスタチン / 神経線維腫 / 神経栄養因子 / 細胞増殖阻害因子 / サイトカイン |
Research Abstract |
研究者は、von Recklinghausen氏病患者より得られた神経線維腫(neurofibroma)中に、脳腫瘍(アスロトサイト-マ、グリオブラスト-マ、オリゴデンドログリオ-マなど)の増殖を抑制するタンパク質性因子(グリア細胞増殖抑制因子:GGIF)が存在することを見いだした。今年度は、この因子を5種類のカラムクロマトグラフィ-を用いて完全精製した。さらにこの因子にニュ-ロンの再生機能を促進する新しい神経栄養因子(Neurotrophic factor:NTF)活性があることを見いだした。この因子はグリア細胞の増殖をサイトスタチックに抑制することから、われわれはこの因子をグリオスタチンと命名した。 神経線維腫から5種類(ブル-トヨパ-ル、DEAEセファセル、ブチルト-ヨ-パ-ル、ハイドロキシルアパタイト、MonoQカラム)のカラムを用いて精製したグリオスタチンは、SDSーPAGE上では、分子量50Kの単一バンドとして泳動された。ス-パ-デックス200によるゲル濾過法による推定分子量は100Kであったことより、グリオスタチンは通常ホモダイマ-構造をしているものと考えられる。グリオスタチンの生物作用は、動物種差を問わず、グリオ-マの増殖を特異的に抑制する。このグリオスタチンは、神経系ではグリアによって産生され、グリア自身に作用するいわゆるオ-トクリン形式で作用するユニ-クなサイトカインである。さらに、大脳皮質ニュ-ロンの生存維持や神経突起伸展作用を併せもつことは、グリオスタチンの将来的な臨床応用を考える上で、重要な知見である。つまり、脳腫瘍に対する治療薬(サイトカイン)として、あるいは脳外科手術後や脳損傷後の後遺症の原因となる反応性グリオ-シスを予防する薬剤としてグリオスタチンを用いることが、同時に損傷を受けた周囲ニュ-ロンの機能修復にも役立つことにつながることを意味している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)