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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
白血病治療モデルの確立のため従来作製が困難とされていたヒト白血病細胞担癌動物の系をBalb/cヌ-ドマウスを用いることで,皮下腫瘤形成型及び腹水貯留型腫瘍モデルの作製に成功した.腫瘤形成細胞,腹水細胞は,接種親株細胞である単球性白血病細胞株JOSKーI細胞と同様の形態学的,細胞遺伝学的特徴を有し,親細胞の有する生理活性物質による被分化誘導能も保持されていた.腫瘤形成細胞は25継代以上継代移植が可能であった.抗癌性化学物質のin vivo効果を評価するうえでの基礎実験として,cytosine arabinosideの抗腫瘍効果を検討したところ,腫瘤型,腹水型担癌動物共に形成腫瘤の著明な縮小,腹水貯留の抑制効果が認められた.一方白血病細胞の増殖分化の機構の解析を同時に進め,生理活性物質TGFーβ1の有するJOSKーI細胞増殖抑制効果の機序の1つとして,細胞周期のG1後期でのRb蛋白の脱リン酸化が重要であることを明かにした.また白血病細胞増殖・分化に密接な関連を有する細胞膜糖脂質ガングリオシド及びこの生合成に関与する糖転移酵素の特徴的変化が観察された. 従来モデルの少なかったヒト白血病細胞担癌動物の系を確立した.白血病細胞の増殖・分化の検討に頻繁に用いられてきたHLー60細胞についても腫瘤形成性担癌ヌ-ドマウスの系を確立し,我々が従来から進めてきた白血病細胞の増殖・分化を制御する生理活性物質のin vivoでの作用を探求することが可能となった.抗腫瘍活性を有する細胞膜脂質とくにGM3,αーsialocholesterolのin vivo活性について詳細に検討中である.抗腫瘍活性物質のヌ-ドマウスへの投与方法など最適条件については未解決の問題が多く,検討を早急に行なっている.白血病の分化誘導療法が注目されており,我々の確立したモデルを用い,活性物質の同定,作用機構の解明を進めている.
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