Project/Area Number |
03152143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
本間 好 東京都老人総合研究所, 生体情報, 研究員 (60192324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎森 康文 東京大学, 理学部, 助教授 (60160389)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | ホスホリパ-ゼC / イノシト-ルリン脂質 / 細胞内情報伝達 / がん遺伝子 / チロシンキナ-ゼ |
Research Abstract |
ガンマ型ホスホリパ-ゼCのSH2/SH3(Z領域)の機能を明らかにする目的で、ラットPLCーγ_2cDNAのZ領域を線維芽細胞3Y1にトランスフェクトし過剰発現クロ-ンを確立した。得られたクロ-ンについて細胞学的、生化学的諸性質を検討した結果、Z領駅の過剰発現により次に示す種々の変化が観察された。 1,トランスフォ-メ-ションの誘導:明らかな形態変化及び増殖速度の促進が認められた。軟寒天上でのコロニ-形成能も認められたが、各種細胞由来癌遺子のそれに比べてかなり弱いことがわかった。 2,内在性情報伝達酵素の活性化:内在性チロシンキナ-ゼ及び木スホリパ-ゼC活性の有意な上昇が認められた。チロシンキナ-ゼ活性化のメカニズムはまだ不明であるが、少なくともZ領域そのものにチロシンキナ-ゼ活性化能は存在しない。一方ホスホリパ-ゼC活性化については、内在性PLCアイソザイムのうちPLCーγ_1活性が上昇していることがわかった。この際、PLCーγ_1はチロシンリン酸化されており、またチロシンキナ-ゼ阻害剤によりPLCーγ_1の活性化が抑制されることから、チロシンキナ-ゼ活性化の結果としてホスホリパ-ゼC活性化が生じるものと推測された。 3,各種増殖因子に対する反応性の低下:PDGFやトロンビンによる増殖促進作用が認められなかった。この際ホスホリパ-ゼC活性の上昇も認められないことから、増殖因子の情報伝達経路が過剰発現したZ蛋白により遮断される可能性が考えられた。 以上の結果により、PLCーγのZ領域にも癌遺伝子様活性が存在することが明らかになり、PLCーγは癌遺伝子を内臓する情報伝達酵素という新しい概念が導入された。そして、PLCーγの調節の乱れが癌化を引き起こす可能性が示された。
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