Project/Area Number |
03201202
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 希晶 東北大学, 工学部, 助手 (80125632)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 啓俊 東北大学, 工学部, 教授 (30212335)
|
Project Period (FY) |
1991
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | 災害 / 高齢者 / 避難 / 地域 / 防災 / 民生委員 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者のための災害時援助体制づくりには「地域防災力」を向上させることが急務であるとの認識の下に行なわれた。「地域防災力」とは、地域の人・物の災害時援助能力の集積と有効性と規定した概念である。 1.災害援助体制のモデル:高齢者を取り巻く地域集団を、集団の構造軸「日常性」「展開性」と、活動軸「正規性」「新規性」を設けて整理し、災害時の援助組織をI.常設型(防災組織の正規の活動)、II.拡張型(災害時に正規の活動の規模範囲を拡張して防災活動)、III.転用型(常時保有する人員や機械を使用するル-チン以外の活動)、IV.創発型(災害時にボランティア等で構成される新しい集団の活動)の4つの型にモデル化した。このモデルに照してみると、現状では常設型の防災システムでさえ完備されている自治体はごく小数である。当面、名古屋市の「ホ-ムサポ-トシステム」などを参考に、各自治体がシステムを地域条件に合わせて構築し、その実践過程から「転用型」「創発型」の防災システムの可能性を検討するべきであると言える。 2.「民生委員」のアンケ-ト調査:地域防災対応力のキ-パ-ソンとしての「民生委員」のアンケ-ト調査を仙台市で実施した結果、大規模地震時に必要で現在不十分な活動として、「寝たきり老人の搬出・救護訓練」と「地域住民との救助の話し合い」が挙げられた。災害時ばかりでなく日常から、防災力を高める情報フロ-システムの維持・管理が重要なことが指摘できる。 3.「一人暮らし高齢者」「寝たきり高齢者」のアンケ-ト調査:この結果、「寝たきり高齢者」層では緊急時に対応できる家族・地域条件を中心に、また「一人暮らし高齢者」層では「近所の人」の確認を中心に、援助体制づくりを進めることが重要であることがわかった。結局、「地域防災力」は次の三段階のレベルで捉らえる必要がある。第一段階は、高齢者本人の事故・危険発生抑止のための自己管理能力向上、第二段階は、各地域における完全・危険箇所の点検運動と避難方法などの確認、第三段階は、地震・火災時生時の相互扶助ネットワ-クづくり、情報交換・要援助層の搬出方法の辰施訓練、である。これらのレベルから見た現在の「地域防災力」の実情を把握し、改善する点をさぐることが急務である。
|