手見的リスク管理法制度とその社会的受容性に関する研究
Project/Area Number |
03202217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
北村 喜宣 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (20214819)
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Project Period (FY) |
1990 – 1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | リスク / 知る権利 / 規制 / 自己決定 / 情報 / リスク・コミュニケイション / 警告 / アメリカ法 |
Research Abstract |
無数の化学物質を使用して事業活動を行なっている企業にとって、どの程度そうした物質が規制されるかは、大きな関心事である。安全性を完全に証明するデ-タが必ずしもあるわけではない物質の使用が大幅に制限されたり禁止されるとなると、それは、企業活動の継続に、少なからぬ影響を及ぼすことになる。一方、無毒であるとの証明のない化学物質に曝露させられることになる市民にとっては、通常は自衛手段もないために、行政の介入による規制が強く求められるところである。そのバランスをどのようにとるかは、リスク管理法制度の重要な論点である。このような観点から、リスク法制先進国であるアメリカ合衆国において、最近、注目を集めているのが、1986年にカリフォルニア州で制定された、「プロポジション65」である。 プロポジション65は、発癌性のある物質や次世代の個体にも影響を及ぼすような毒性物質の規制をする、被害予防型の一般的なリスク管理法である。その目的とするところは、大別して二つある。第一は、発癌性のある物質や次世代にまで影響を与える毒性物質が飲料水源に排出されるのを禁止することであり、第二は、有毒物質による曝露に市民が対応できるように、排出者が事前に警告を与えることである。また、行政に対しても、執行活動によって得られた情報を公開することを義務づけている。この制度は、リスク情報を提供することによってリスク選択を個人の自己決定に任せるという仕組みになっている。情報提供は、当該化学物質に市民を暴露させる可能性のある事業者に義務づけられる。義務づけ対象の化学物質は、とりあえず政府が有害とみなしたものであり、この義務の免除を求めるためには、事業者側で無害性を積極的に証明しなければならないという点が、従来の規制システムとの大きな違いとなっている。
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Report
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Research Products
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