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¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
最近,上水道水源の有機汚染がますます増大し,水道水を塩素処理によって消毒することが発癌性のある有機塩素化合物の生成を招き,その社会的リスクが重大な問題となっている。塩素をさらに酸化力の弱い消毒剤に代えようとする動きもある。しかし,ここで問題になるのはウイルス・病原菌から社会を守りうるかという新しい問題である。いいかえれば,発がんという慢性的健康影響と病原性の急性影響の対比評価である。 本研究では,塩素,オゾン,二酸化塩素,クロラミンを取り上げ,発癌性と消毒力の比較を主たる目的として,実験デ-タを収集し,それをベ-スにしつつ,分析手法としてわれわれの開発した分解FT法を活用することによって,定量的に上水の消毒のあり方を具体的に検討した。 多くの結果を得たが,主要な結果のみを要約すれば以下の通りである。 1.塩素は確かに発癌リスクは高い(発癌性はチャイニ-ズハムスタ-細胞を用いた染色体の交換型ダメ-ジで定量化した)が,塩素の持つ残存性の効果は重要である。 2.オゾンは消毒力も強く,発癌リスクも低いが,残存効果がないので社会的消毒剤として活用できない。 3.二酸化塩素は消毒力も強く,発がんリスクも低い。また残存効果もある。塩素に代りうる消毒剤であることが明らかとなった。 4.クロラミンは発がんリスクが最も低いけれども,消毒力も極めて低い。問題にならない。 今後さらに塩素と二酸化塩素の発癌性と残存性の比較が重要であることを明らかにした。
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