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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
ガラス中に埋め込まれたIーVII,IIーVI族半導体超微粒子を対象として,光励起されたキャリア,励起子の3次元的量子閉じ込め効果を調べている。これまでに光吸収,発光寿命に対する閉じ込め効果の影響を実験的に明らかにし,理論的な予測との対応を示した。本年度はさらに光学非線形性,キャリヤの緩和過程に対する閉じ込め効果の影響を詳細に調べ,理論との対応づけを行った。 1.CuCl微結晶におけるX^<(3)>の粒径依存性:ナノ秒色素レ-ザ-を用い,縮退4光波混合法により励起子の3次非線形感受率X^<(3)>を測定した。80Kでは平均半径20〜80A^^゚の間で粒径とともにX^<(3)>は増大し,それ以上の半径では逆に減少傾向が見られた。このX^<(3)>の増大は理論的な予測に近い粒径依存性であった。次に減少傾向の原因を調べるために試料温度を80〜180Kと変えて測定を行った。X^<(3)>のピ-クは80Kにおいては60A^^゚にあるが,より高温では小さな粒径に移り,180Kでは20A^^゚程度となった。これらの結果は,粒径増大による閉じ込め効果の減少,高温による均一幅の広がり等で定性的に説明できる。 2.フェムト秒過度吸収分光法によるCdSe微結晶における緩和の観測:強力なフェムト秒パルスとプロ-ブ用白色超短パルスを用いて,励起後の過渡的な吸収スペクトル変化を測定した。平均半径を20〜120A^^゚と変えて「強い閉じ込め」と「弱い閉じ込め」における非線形性発生のメカニズム,キャリヤの緩和過程の違いを考察した。平均半径23A^^゚の試料では明らかに最低の量子閉じ込め準位間の吸収が飽和を示し,その回復時間には2成分があることから,緩和過程にはキャリヤトラップの影響が大きいと考えられた。一方,平均半径120A^^゚では,吸収飽和は吸収端付近に生じ,その形が時間的に先鋭化することから,バルク結晶に類似したキャリアの緩和が起きていると考えられる。
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