Project/Area Number |
03205065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
志田 忠正 京都大学, 理学部, 教授 (60025484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 孝昌 京都大学, 理学部, 助手 (10200354)
加藤 立久 京都大学, 理学部, 助手 (80175702)
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Project Period (FY) |
1990 – 1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 高スピン分子 / ポリカルペン / ESR / ENDOR / ラジカルイオン / 分子磁性 / スピン多重度 / 電導性 |
Research Abstract |
mーPhenylenebis(phenylmethylene)(mーPBPM)の正負イオンを生成し、そのHーENDORの測定を行なった。その結果から正負イオンともにスピン多重度が4のπ型イオンであると結論した。測定は試料の温度を1.8Kに下げ、微細結合テンソルの主軸方向およびスピン半整数系に特有のエキストラ軸方向に対応するいくつかの磁場でのENDOR信号を数百回スキャンすることによって成功した。ENDOR周波数vはフリ-プロトンに対する周波数v_nと超微細結合テンソルのzz成分aおよび電子スピンの磁気量子数m_sを用いて次式のように表される。v=|v_nーam_s| 本研究の対象である四重項イオンではm_s=±3/2,±1/2であるが上式からm_s=-1/2と1/2の間の遷移に対応するENDORスペクトルはv_nを中心として対象的なパタ-ンを示し、m_s=(-1)/2と(-3)/2の間の遷移については非対称なパタ-ンを示すことが予測される。実測の結果は、予想どおりm_s=-1/2〜3/2に対応するY軸変向のパタ-ンは非対称的、m_s=-1/2〜1/2に対応する、Y軸方向とエキストラ軸方向のパタ-ンは対称的であることが分かった 上に得られたENDORスペクトルから次のようなことが導き出せる。ENDOR信号の強度の大部分はv_nから10MHz以内のところに集中していることから負イオンにおける過剰電子の分布は分子全体に非局在していると示唆される。本来、過剰電子は中性の非結合性の2個のπ軸道と2個のn軌道がほとんど縮重しているため上のどちらの軌道を占有するかは予見し難い。しかし、ENDORスペクトル測定結果から、いずれの場合が実現しているかを決めることができる。実験で得られた結果を投影定理の補正を加えた上で解析することにより、過剰電子はπ軸道に入っていることがほぼ確実であることが分かった。
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