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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
1.我々の予備的実験によれば,磁気的ヒステリシスに代表される巨視的な強磁性的振舞を顕わに示す磁性高分子は全て室温においても特異なESRスペクトルを示す。そこで磁気性を微視的立場から解明するには高感度の磁気共鳴法が優れているので,実験的方法としては主としてESR及びENDOR法を採用し,磁気的性質の巨視的な物理量の特定に適して磁化率測定を併用した。本年度は,高分子の代表例としてポリアセチレン型ポリマ-(B)を主としてとりあげた。これはπ系のトポロジ-対称性を満足する側〓に,化学的に安定なニトロニニルトロキシド基をもつRスペクトルの温度変化(3〜573K,温度降に伴う共鳴磁場の低磁場シクトノはランダム磁性体に固有の挙動に酷似しており強磁性の前段階ともいえるスピングラス状態の形成を強く示唆していることがわかった。そこで比較的短距離のスピン秩序形成を仮定したスピングラス理論及び高スピン集合系のスピン双極子相互作用機構を仮定したアプロ-チによって線形及びシフトの解析を検討中である。2.一方実験的には,前年度の磁気共鳴的物性測定に加えて,微弱な巨視的磁化を検出するのに適した量子干渉計(クオンタムデザイン社MPMS2)を整備し、2Kから400Kの広い温度領域にわたって磁化率測定を行うためのセットアップをしつつあり近く完成の予定である。 3.ポリマ-Bのスピンの顕わな挙動に関する知見を得るために,モノマ-の溶液系のH核のENDORスペクトルを測定しスピン密度分布を決定した。H核の帰属を一意的に行うため,水素核を部分的に重水素化したモノマ-のENDOR測定を併わせて行った。このモノマ-は合成戦略上重要視されてきたが,今回はじめてそのスピン密度分布を実測し,スピン整列を制御する上での問題点を明らかにした。
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