Project/Area Number |
03209214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
宝来 聰 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系・人類遺伝研究部門, 助教授 (40126157)
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Project Period (FY) |
1991 – 1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 人類集団 / DNA多型 / 塩基多様性 / 遺伝子系統樹 |
Research Abstract |
本研究では、種々の人類集団に由来する現代人に関してミトコンドリアDNA(mtDNA)のDル-プ領域の塩基配列を決定し、遺伝子系統樹解析を行なった。本年度は、新たに東南アジアやアメリカ由来のモンゴロイド27人のmtDNAの、Dル-プ領域の塩基配列を決定した。そして、これまでに得られたアフリカ人、ヨ-ロッパ人、モンゴロイドの三大人種のデ-タと合わせた現代人128人について、相同な482塩基対の配列を比較し、各々の配列間で起きた塩基置換数の推定も行った。この領域での128人の塩基多様性の度合は1.46%となり、これまでに報告されている、制限酵素の切断パタ-ン違いから求めた値より3倍以上高い値となった。推定した塩基置換数を基に、UPG法で遺伝子系統樹を作成した。枝別れのパタ-ンより、各系統はC1からC5で示す、5個のクラスタ-に分けることができる。ほとんどのアフリカ人は、系統樹の上で最初に分岐する、C1に属している。そしてその後に、C2に属する一部のアジア人が、続いてC3からC5のアジア人とヨ-ロッパ人が分岐している。ここで、各クラスタ-ごとの各系統の地理的分布を調べると、アフリカ人の系統はC1のほか、全てのクラスタ-でみられる。このことは、アフリカ人が最も多様性に富んだmtDNAの塩基配列を持っていることを示している。一方、多様性がもっとも低いヨ-ロッパ人の系統のほとんどは、C4に入り、他はC2、C5それぞれに2系統ずつ見られるだけである。日本人とアジア人の系統は、C1以外の全てのクラスタ-にみられ、ヨ-ロッパ人よりはずっと多様性が高いことを示している。7人のアメリカ原住民のうち、3人はC3、4人はC5に入った。このことより、調べた個体数は少ないが、ベ-リング海峡を渡ってアメリカ大陸に最初に移住した集団が、それほど大きくなかったことが示唆される。
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