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¥12,500,000 (Direct Cost: ¥12,500,000)
Fiscal Year 1991: ¥12,500,000 (Direct Cost: ¥12,500,000)
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Research Abstract |
金属系の超伝導エレクトロニクスの歴史から明らかなように,高性能のエレクトロニクスの実現には,トンネル型ジョセフソン素子が不可欠である.しかしながら高温超伝導体につしてはいまだに良いトンネル素子が得られていない.昨年度までの研究で,YBCOの上にMgO,STO,YOなどの絶縁体を配置すると,島状構造になり易いことが判明した.さらに本年度にかけて,これらの絶縁体がYBCOに対し,ストレスのような大きな影響を与えていることが示された.具体的には可視光が絶縁層は透過するがYBCOは透過しないことを利用し,ラマン分光法により絶縁層とYBCOの界面の状態を調べた.その結果,超伝導を破壊するに足る程の大きなストレスに対応するラマンシフトが観測されたものである. そこでこうした界面問題を解決するために,両層の間にバッファ層を挿入することを提案した.バッファ層は両材質に対しぬれ性が良く,島状とならないこと,近接効果等により十分な超伝導電子密度が確保できることが必要条件となる.この条件を満たすものとして我々はPrBCOを採用した.積層成長実験の結果,PrBCOはYBCOに対し,極めて平担に成長し,またその上にMgOを成長したところ非常に安定な平担面が得られ,バッファ層として構造的には十分な材料であることが示された.その上にさらにPrBCO,YBCOと5層の成長を行なっても,平担性,最上部のYBCOの超伝導性とも優れたものが得られ,素子化の目途を得ることができた.さらに本年購入のマスクアライナ-,スピナ-等,微細加工用の装置を用い,具体的なジョセフソン素子構造を作る基礎実験にも成功することができた.今後,トンネル型の素子構造を構成し,本法の有効性を検証する予定である.
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