ヘム酵素P‐450を規範とする基質酸素化機能発現の構造特性の解析と合成化学への応用
Project/Area Number |
03215209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広部 雅昭 東京大学, 薬学部, 教授 (20012594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 恒彦 東京大学, 薬学部, 助手 (50173159)
増野 匡彦 東京大学, 薬学部, 助手 (90165697)
長野 哲雄 東京大学, 薬学部, 助教授 (20111552)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | チトクロムPー450 / ポルフィリン / チオレ-ト / 酵素モデル / ルテニウム / 活性酸素 / 触媒 / 合成 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の成果を踏まえ研究を行い、以下の結果を得たのでここに報告する。P‐450は構造上の大きな特徴として軸配位子がチオレ-ト(S^-)であることが挙げられることから、反応における軸配位子効果に重点を置き検討した。既に合成したS^-配位錯体に加えて、比較のためイミダゾ-ルを軸配位子として有する錯体の合成も今回行った。Pー450様酸化反応をこれら錯体で比較検討ところ、S^-配位のヘムでは疎水性環境で反応性が高く、溶媒の配位阻害がかなり大きいのに対し、イミダゾ-ル配位錯体では反応効率に関しその逆の傾向が得られた。また、酵素側からのアプロ-チとして、P‐450と変性によってチオレ-ト配位子のはずれたPー420との反応性の比較も行い、本配位子が芳香環の水酸化及び酸素活性化の際の電子伝達に必須であることが示唆された。これらの知見は酵素側の反応性、及び軸配位子の意義を考える上で重要なものと考られる。次に中心金属を鉄から周期率上同族のルテニウムに置き換えたポルフィリン錯体の反応性の検討を行ったところ、含窒素複素環Nーオキシド類からオレフィン、スルフィド、アルコ-ル類への酸素移行を極めて効率良く触媒することを見いだした。本反応は合成化学的にも利用可能と思われる。 さらにアポタンパク部分を考慮したモデルであるポリグルタメ-ト結合鉄ポルフィリンを合成し、本錯体が特徴的にNーメチルアニリンの酸化的NーNカップリング反応を触媒することを見いだし、本反応が生体内代謝反応として起きているという知見も同時に得た。以上得られた知見はPー450の機能発現の機構解明及び合成化学へ応用可能な酸化触媒設計への両方に寄与できる結果であると考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)