Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究ではシナプスにおけるインパルス伝達にかかわる遺伝子を同定し,その分子性状を解明する目的で出発し,ほぼその目的を達することができた。 アセチルコリン伝達にかかわる遺伝子,unc‐18をクロ-ニングし,発現系ペクタ-に組み込み融合タンパクを作成した。これを用いて常法により抗体を作製し,得られた抗体を用い,Westcrn blottingによりタンパクの生化学的性状を調べた。このタンパクは分子量およそ68,000で,転写産物と一致して幼虫初期に多くの発現が見られた。また突然変異体では全く発現が認められなかった。次に免疫組織化学により遺伝子産物の組織内分布を調べた。その結果運動ニュ-ロン軸索に特に多く,アセチルコリンの異常蓄積との関連性が示唆された。次に遺伝子産物を合成する細胞を同定するため,β‐galactosidaseをreporterとするcxpression vectorに挿入し,C.elegansにmicroinjectionしてその発現を見た。その結果motorneuronにのみ発現していることが判明した。したがって,この遺伝子は,運動ニュ-ロン細胞体で発現し,その神経突起に分布していることから,なんらかのかたちでアセチルコリンの挙動にかかわっていることが示唆された。 以上のようにunc‐18遺伝子産物はコリン作動性ニュ-ロンに働いていると考えられる。このことを遺伝学的方法で検討した。ace‐3はclass C acetylcholinesteraseをコ-ドしている。この遺伝子を欠くと,acetylcholinesterase阻害剤に対し高感受性となる。この性質を利用し,unc‐18ace‐3二重変異を作成し,感受性を調べたところ依然高感受性を示した。したがってunc‐18の働きはace‐3とは独立で,コリン作動性ニュ-ロン固有ではないことが分かった。
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