Research Abstract |
本研究の目的は,第1に工場に関する地理情報(GISーMA)をデ-タベ-スとしてシステム化し,それに基づく分布図=地図情報の空間的分析であり、第2に「工業統計メッシュデ-タ」を利用し,GISーMAの点の情報つまり工業の空間展開の地域的な意味を問うこと,である.本年度は,前年度のシステム化に向けた準備作業を受けて,前者のうち分布図の作成およびその空間的分析を重点的に進める,というものであった. こうした目的と実施計画を受けて,前半は予定された年次(1960,69,81,86)および業種(繊維,衣服,化学,石油・石炭,鉄鋼,非鉄,電機,各従業者数100人以上)のデ-タの入力作業を集中的に行ない,後半はGISーMAデ-タベ-スの地図化作業と,計画班との連携の下でその中でもとくに関東から東北セクタ-における電機工業の地方分散に関する分析とを行なった.地図化作業では,全国,地方別,1/20万地勢図々幅など種々のスケ-ルでの図化,属性ごとの図化,およびそれぞれの異なる年次での重ね合わせによる図化,さらに属性についてのクロス集計による図化,等が作成できるように開発した. 後者の地方分散の分析では,従来の断片的な成果を改めて集計的に実証するとともに,いくつかの新たな知見が得られた.新たな成果としては,詳細な立地動態の解明を通して,分散工場の立地と交通網の整備状況(関東では一般国道,東北では高速道路中でもそのインタ-チェンジ)との相関が高いこと,分散工場の性格が首都圏からの距離帯により異なること,1980年代に入ってからの関東での「再集中化」ないしは「域内再編」の進行,などが明らかにされた.残る課題は,以上の点情報による分析を「工業統計メッシュデ-タ」と対応させ,その地域的な含意を分析することである.
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