Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 秀人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (40217724)
蛭田 庸代 南山短期大学, 人間関係研究センター, 講師 (70189877)
吉田 忠 東北大学, 文学部, 教授 (60004058)
開原 成允 東京大学, 医学部, 教授 (30010234)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本年度は,基礎的なデ-タの聞き取り,資料の整理を主眼に研究が進められている。 そのなかで浮び上ってきた問題の一つは,治験における安全性解析(もしくはリスク・アナリシス)とインフォ-ムド・コンセントの間にある,ほとんど論理的なコンフリクトの問題である。治療効果および安全性確認の実験を二重盲検法で行う限り,インフォ-ムド・コンセントとの抵触は宿命的であり,この問題を,どのように方法論的に定式化するかということは,今後の重要な課題の一つである。 第二に,患者の自決権の拡がりのなかでの安全性の問題が議論の対象になる。医療側の考える安全に関する価値観と,患者自身の考えるそれとの間に見受けられるギャップが現在拡がりつつある。そうした場面で,患者に治療法選択の最終的な決断を委ねたときに生じる安全性の問題をどのように処理するか,これも重要な方法論上の課題となる。 第三に,安全性を巡る心理的な問題がある。患者が伝えられる治療法に関する安全性や効果を巡る情報は,それ自体が,治療効果や安全性の問題に影響を与える可能性が十分考えられる。このような状況は,方法論的には,「自己言及的」な性格のものと理解されるが,こうした自己言及性に関しては,現在多くの議論があり,しかも必ずしも明確な結論が得られていない。 本年度は,こうした基礎的な問題の洗い出しと,その整理とに忙殺される結果となったが,次年度において,これらの課題について,集中的な研究と討論を重ね,社会的に意義の豊かなアウト・プットを提供する所存である。
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