Research Abstract |
古気候の解析にボ-リングコア中の種々の情報を用いることができるが,手法としてのパワ-スペクトル解析がどのように有効であるかを検討した。FT法(フ-リュ解析),AR法(自己回帰法)を比較し,ピ-ク位置の解析にはAR法が,一般にはFT法が有効であり,規則正しい周期性があれば両者は一致すことが明らかとなった。また両者の結果を比較することにより,二次的ゆうぎの判定が可能であることもわかり,これは今後の地球環境解析に有効であることが示された。 フィ-ルド調査,研究の対象として,海水面変動を把握する目的でサンゴの分布と水準の測定,および火山活動の変動をとりあげ,ゆらぎとサイクルの点から検討した。 生物には独自の環境適応能力があるが,古気候の変動の指標として用いるとタイムラグがある。これも考慮しつつ,わが国における後氷期海進の時代に担当する1万年〜6千年前の造礁性サンゴの調査を行った。その結果,現在の館山湾の平均水温より,当時この地球の平均水温は3℃高いことが明らかとなった。日本列島は海流のため,過去,現在を通じ,地球の平均よりも上回る温暖化を示しており,このことは今後地球環境を考えるとき,特に温暖化の問題を考えるとき,このことを十分に考慮すべきことが明らにされた。 一方,火山活動に関しては,わが国の草津白根火山で32年間(1961ー1992),ニュ-ジ-ランドのルアペフ火山で24年間(1968ー1991),コスタリカのポアス火山で7年間(1984ー1990)の活動を解析した。火口湖水中の硫黄化合物,特にポリチオン酸の解析から,火山の静穩期には,1年の周期の変動が認められ,火山活動に対してマグマ,水の相互作用で1年周期のゆらぎのあることが世界で始めて明らにされた。
|