Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 義明 同志社大学, 文学部, 嘱託講師
松本 健 国士館大学, イラク古代文化研究所, 助教授 (00103672)
脇田 重雄 (財)古代オリエント博物館, 研究員 (00175069)
屋形 禎亮 信州大学, 教養部, 教授 (80015388)
岩崎 卓也 筑波大学, 歴史人類学系, 教授 (30015383)
|
Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
|
Research Abstract |
7回の研究会を開き,発表者は17名に及んだ。発表内容は2つのテ-マに大別される。すなわち,メソポタミア・シリア・エジプトにおける前3000年前後の古代国家の興隆について,もうひとつは前1000年前後における古代国家の変容〜ギリシア文明の興隆についてである。本年度は前者にのテ-マに力点をおいた。その結果,エジプトでは主に墓制の隔差として興隆の形痕をたどることが可能であり,いっぽうメソポタミア・シリアでは集落跡における祭祀建造物の顕在化としてその軌跡を追うことができる。しかし,両者における資料上の隔たりは大きい。また,シリア・メソポタミアでは前4000年頃にウバイド土器の分布圏が北方のデルタ方面に伸張する。国家形成の前史として,このような土器分布圏の拡大現象に注目すべきことが確認された。 いっぽう,前1000年前後からはじまる古代国家の変容については,専門分野の文献史学の研究者を講師に招いて,積極的に考古学上の成果と対比を試みた。海の民の侵冦,ヒッタイトやミケ-ネの滅亡に始まり,ギリシア人の植民活動,後期アッシリア帝国・アケメネス期のペルシアの興隆に至るこの変容が,人類史上の画期をなしたことを確認するとともに,これら一連の変容が惹起された根本的原因についても,学史を踏まえながら議論を進めた。なお,本研究が環境との関連を問うものである以上,当該地域における花粉分析による古環境の復原の最新成果を持つことしきりである。
|