大環状配位子の特性に基づく異常原子価遷移金属イオンの化学
Project/Area Number |
03233221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 栄一 広島大学, 医学部, 教授 (30034010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 光彦 広島大学, 医学部, 講師 (60187333)
小池 透 広島大学, 医学部, 助教授 (90186586)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 異常原子価 / 遷移金属イオン / 大環状ポリアミン / 錯体化学 / 金(III)イオン / 亜鉛酵素 / 加水分解反応 / 金メッキ化剤 |
Research Abstract |
大環状ポリアミンは、包装する遷移金属イオンの酸化数、配位数、およびそれらの化学反応性に劇的な影響をもたらす優れた配位子である。したがって、大環状ポリアミンを適当にデザインすることにより、様々な遷移金属イオンの異常原子価状態を作りだすことが可能である。 本研究は、i)不安定な高酸化状態にある金(III)イオンの大環状ポリアミン錯体を新たに合成し、金(III)イオンの化学的性質を詳細に検討すること、ii)亜鉛酵素における亜鉛(II)イオンの機能を、酵素モデルである大環状トリアミン亜鉛(II)錯体を用いて明らかにすることを目的として行なった。その成果を以下に示す。 i)高酸化状態にある金(III)イオンの大環状テトラアミン錯体を、世界で初めて安定な単結晶として単離し、そのX線結晶構造を明らかにした。さらに、pH滴定や電気化学的測定により、大環状テトラアミンは環内の異常酸化状態の金(III)イオンを安定化し、その結果、非常にユニ-クな溶磁内挙動を示すことを明らかにした。本錯体は、新しい金メッキ化剤や金イオン回収剤としての幅広い応用が期待される。 ii)大環状トリアミン亜鉛錯体は多くの亜鉛酵素の活性中心に見られる正四面体配位構造を持ち、亜鉛に配位した水分子のプロトン解離したOH^-錯体は、酢酸エステルやリン酸エステルの加水分解反応やアセトアルデヒド水和反応を促進することを見い出した。特に、本錯体を用いるリン酸エステル加水分解反応では、亜鉛の五配位構造とリン原子の五配位構造を合わせ持つ特殊な原子価状態の中間体が、反応の進行に極めて重要な役割を果たしていることがわかった。我々はすでに、トリアミンへの様々なアミノ酸残基の導入にも成功しており、亜鉛酵素活性中心近傍のアミノ酸残基の意義も明らかになりつつある。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)