ヘテロ原子化合物のカチオンラジカル種に対するケイ素のβ効果
Project/Area Number |
03233228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
磯江 幸彦 大阪市立大学, 理学部, 教授 (90046946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 敬一 大阪市立大学, 理学部, 助手 (30127170)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | カチオンラジカル / ケイ素 / β効果 / 電子移動 |
Research Abstract |
本研究では、カチオンラジカルに対するケイ素のβ効果の一般性を調べ、その原因を実験と理論の両面から明らかにし、それに基づく新しいタイプの有機合成反応や機能性物質を開発することをめざし、以下に述べる結果を得た。 (1)ケイ素を含む種々のヘテロ原子化合物の酸化電位を測定し、ケイ素により電子移動が促進される効果の大きさは酸素>窒素>硫黄の順であることを明らかにした。 (2)MO計算から、ケイ素がβ位のヘテロ原子から電子移動を容易にしカチオンラジカルの生成を促進するのは、炭素ーケイ素結合性σ軸道とヘテロ原子の排結合性p軸道とが相互作用し、HOMOが上昇するためであることを明かにした。 (3)ケイ素のβ位にへテロ原子を有する化合物を電極酸化したところ炭素ーケイ素結合が選択的に開裂し、炭素上に酸素求核剤や窒素求核剤が導入されることがわかった。 (4)αーアルコキシシランを電極酸化するとアセタ-ルが生成し、これを加水分解するとカルボニル化合物が得られるので、αーアルコキシシランはカルボニル基の等価体となる。この概念に基づき、βーヒドロキシ-αーアルコキシシランを鍵中間体とする光学活性ポリオ-ルの一般的合成法を開発した。 (5)カルボニル化合物でも、エ-テルと同じようにケイ素により電子移動が溶易になり、カチオンラジカルの生成が促進されることを明かにし、アシルシランの電極酸化反応を開発した。 (6)ヘテロ原子として窒素をもつアシルシラントシルヒドラゾンも対応するケイ素のないトシルヒドラゾンに比べて酸化をうけやすくなるが、その程度はアシルシランの場合にくらべて小さいことがわかった。電極酸化を行なうと対応するニトリルが得られた。 (7)ジアゾアルカンの窒素に隣接する炭素にケイ素がつくと、水素の場合に比べて少し酸化電位が低下するが、その効果は大きくないことがわかった。 以上のように、ケイ素がβ位のヘテロ原子からの電子移動を容易にしカチオンラジカルの生成を促進する効果は極めて一般性が高く、この概念に基づいていくつかの新規な反応を開発することができた。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)