Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
脊椎動物網膜における視覚情報処理は,特定の視野に対応し外界像の特定の情報(線分,速度など)を抽出するために用意された,機能的かつ形態的に分化した自律サブシステムが集まって実行される.本研究の目的は,このような視覚神経回路について自律分散的情報処理の特性とメカニズムを解明することにあった.網膜神経回路網では,視細胞から双極細胞,神経節細胞へ至る連絡経路が自律サブシステムの基本単位となる.このサブシステムどうしは水平細胞およびアマクリン細胞といわれる細胞により側方連絡している.本年度は,解析の手がかりとして生理学的にも比較的その構造がよく調べられている視細胞,水平細胞および双極細胞の成す神経回路網の視覚情報処理機能について,等価電気回路モデルと標準正則化問題を対応させながら考察を加えた.以下に結果の要点を示す. 1.視細胞,水平細胞および双極細胞の成す網膜神経回路網について,線形等価電気回路によるモデル化を行った.モデルの入出力関係を解析解により表現し,解の挙動を調べることにより,各細エの膜インビ-ダンス,シナプス伝達係数等のパラメ-タを予測した. 2.雑音を含む画像に対して平滑化とコントラスト強調を行う問題を,標準正則化問題に帰着させて定式化した. 3.1で求めたモデルの方程式は2で行った定式化と対応づけができることを示した.これにより網膜における平滑化ーコントラスト強調を行う神経回路は,標準正則化問題を解く回路になっていることが分かった.この結論は,生体網膜の並列分散情報処理の解明において,機能と神経回路を結び付けた理解を進めるために,重要な指針を与える.
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