Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
ナシ,イチゴ,カンキツ(タンジェリン)の黒斑病菌はそれぞれAK,AF,ACT毒素を放出して宿主植物に寄生する。これらの構造が極めて類似しており,その生合成過程も極めて近いことを見出してきた。本研究ではこれらの毒素の宿主認識機構を解明することを目的として研究を進め,主として次の3点の研究成果を得た。 1)黒斑病菌の大量培養法の確立。 この種の菌はタンク培養条件では毒素が得られず,静置培養条件下でのみ毒素類が得られる。そのために,大量培養は困難であったが,今回各種の静置培養条件を検討した結果,ナシ黒斑病菌などの数百リットル単位での大量培養に成功し,この培養液からAK毒素の約0.5gを得た。この方法の確立で,今後の研究が大巾に進展すると期得できる。 2)ナシ黒斑病菌培養液中のAK毒素関連化合物の検索。 大量培養により得た粗抽出物中の微量物質を詳細に検索して新たに毒素の生合成に密接に関連する化合物3種を得た。この構造解析により,毒素の生合成過程がより詳細に明らかとなり,黒斑病菌の病原性獲得機構・失活機構が毒素の生合成に関わる鍵酵素の活性化と欠落により説明できるようになった。 3)毒素の反応性に関する研究。 毒素と宿主植物レセプタ-との結合が非可逆的である可能性を知る目的で,毒素の化学的諸性質を検討した。その結果,毒素は非常に不安定であり,特異な反応性を示すことを見出した。現在,この特異反応と宿主認識機構との関係について研究を進めている。
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