Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
マイトマイシンCは抗腫瘍性化学療法剤として広く臨床で使用されているが、特に骨髄抑制等の副作用が問題となっている。1987年に見出された抗生物質FRー900482,およびその類縁体FK973はマイトマイシンやビンクリスチン耐性の細胞にも効力を持ち且つ低毒性であることから注目を集めている。しかしながら、これらの光学活性体の全合成は未だ達成されていない。本研究ではFRー900482のキラル全合成を行なうと共に、光学活性類縁体の合成法の確立を第一の目的とする。我々は全合成計画に際し、鍵中間体としてこれらの抗腫瘍抗生物質に共通する構造単位であるシス-ジ置換アジリジンを選び、その光学活性体の合成を検討した。これは抗腫瘍活性発現に際してDNAとの相互作用にアジリヂン部が必須であるため、シス-ジ置換アジリジンを出発物質として合成される類縁体にも制癌活性が期待できると考えたからである。 光学活性シス-ジ置換アジリジンの実用的な合成法として先ず酵素を用いる方法を検討した。即ち、σ対称を持つcisー2,3ーbis(acetoxymethyl)aziridineの一方のアセチル基のみを加水分解し光学活性体を得ることとした。また、メソ-アジリジンを基質とする酵素反応は知られておらず、その点においても新たな知見が得られると考え、検討を行なった。メソ-ジアセテ-トは緩衝液中酵素を用いる加水分解法では収率良くモノアセテ-トを与えなかったので有機溶媒中、求核剤を用いるエステル交換法を検討した。酵素はAmano P,CCL,PPL,PLEの4種類を用い、求核剤としてはnーBuOHを用いた。その結果、保護基がTs基、Z基のどちらの場合でもAmano Pにより収率66〜76%,エナンチオ選択性95〜98%eeと良好な結果を与えた。 光学活性モノアセテ-トの絶対構造は、その(1S)ー(ー)ーcamphanic chlorideとの反応により得られる誘導体のX線解析により決定した。
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