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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
昨年までに作製した実験装置の改良を行った。シンクロトロン放射光(SOR)を集光するために前置集光鏡を取り付けたほか,表面分析のためのX線光電子分光およびオ-ジェ電子分光,試料の交換を容易に行うための迅速試料交換装置を取り付けた。また排気系の強化を行った。 昨年度に引きつづき白金上に低温で物理吸着したペンタ鉄カルボニル(Fe(CO)_5)の光分解反応を研究した。200mm以下の波長の光を照射すると、反射赤外分光によるFe(CO)_5のカルボニルの吸収は急速に減少することが見出された。それと同時に、気相にCOが検出された。温度をカルボニルが脱離する温度まで上げると赤外分光ではまったくスペクトルは見られなくなる。しかしながら、基板の温度を一定速度で上昇させながら脱離して来るガスを分析すると,未反応のFe(CO)_5が脱離した後,多量のCOが脱離することが見出された。このCOは光分解で生成したサブカルボニル種の分解によると考えられ,この中間体のFeとCOの比は1:4と見積られた。反射赤外分光は表面に垂直な振動のみに敏感であり表面に平行な振動は感知しないことから,生成した反応中間体は表面に平行なCO伸縮振動のみを持つと考えられる。したがって中間体は表面に平行に吸着した平面構造のFe(CO)_4と推定される。X線光電子分光の結果もこれを支持するものであった。 高感度反射赤外分光は表面に平行な振動モ-ドを検知できないという欠点はあるが,表面に単分子層吸着したCOやカルボニルを十分な感度で測定できることが本研究によってわかった。また,平行な振動が検出できないことを利用して,吸着分子の構造に関する情報を得ることができる場合もある。
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