Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本年度は混合配位子鉄ー硫黄キュバン類似クラスタ-の合成と反応,酸化還元による骨格変化等について研究の進展があった。以下にこれらに関する成果をまとめる。 1.本研究代表者は,鉄二核錯体Cp*_2Fe_2(CO)_4(Cp*=η^5-C_5H_5,η^5-C_5Me_5)と硫黄およびフェニルアセチレンまたはジフェニルアセチレンとの反応から,二つのCp*配位子および二つのジチオレン配位子を持つ混合配位子鉄ー硫黄キュバン型クラスタ-[(η^5-C_5Me_5)_2(Ph_2C_2S_2)_2Fe_4S_4]が生成することを以前報告した。今回,さらにCp*=η^5-C_5H_5の錯体とジフェニルアセチレンを用いた反応の混合物から,新しい常磁性混合配位子クラスタ-[(η-C_5Me_5)_3(Ph_2C_2S_2)Fe_4S_5]を単離し,そのX線構造解析を行うことに成功した。また,アルキンとしてあまりかさ高くないPhC≡CR(R=Me,Et,CH_2(CH_2)_<10>CH_3)およびMeO_2CC≡CCO_2Meを用いた場合にも,同様のクラスタ-が得られることがわかった。なお,MeO_2CC≡CCO_2Meを用いた場合には,この他に新しい鉄二核錯体(η^5-C_5Me_5)_2Fe_2{S_2C_2(CO_2Me)_2}(CO)も得られ,その極めて興味深い構造をX線結晶解析により明らかにした。 2.上記の混合配位子キュバン型クラスタ-[η^5-C_5Me_5)_2(PH_2C_2S_2)_2Fe_4S_4]はジメチルジチオカルバミン酸塩と高温で反応し,単核錯体[Fe(S_2CNMe_2)_2(S_2C_2Ph_2)]を与えることを見出した。この化合物はジフェニルジチオレン配位子を持つこの種の錯体の最初の例である。 3.上記のFe_4S_4およびFe_4S_5骨格を持つクラスタ-は,どちらも一電子酸化するとそれらの骨格構造が大きく変化し,またクラスタ-骨格内の鉄ー鉄総結合次数が増加することを,X線結晶解析により明らかにした。このような結合次数の変化およびクラスタ-の磁性の変化は,定性的なクラスタ-電子計数によってほぼ説明できることがわかった。
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