Research Abstract |
1。スピンSの値が1/2のイジング反強磁性三角格子(イジングAFT)にはT=0で長距離秩序(LRO)がないが、Sが無限大の場合にはLROがあることが示された。そのスピン構造は部分格子磁化が(1、0、ー1)で表される、いわゆるPD構造である。これは上のPD構造の状態数が他の構造の状態数に比べて圧倒的に多いことが原因である。スピン数をNとしたとき、PD相の状態数は(2S+1)^<N/3>であり、PD状態からはずれたスピン数をnとすると、nは(2/3)×N×(2S+1)^<ー2>となりSが無限大ならnはゼロとなる。Sが無限大でなくてもある臨界値S=62より大きくなればLROが生じる。(J.Phys.Soc.Jpn.60,1513ー1522(1991),T.Horiguchi,O.Nagai,and S.Miyashita). 2。連続スピンイジングモデルの低温展開理論を定式化した。熱力学量の化算値は、2、3次元強磁性体の場合、臨界温度の2/3の温度までモンテカルロ(MC)の結果と良く一致する。(J.Phys.Soc.Jpn.61,308ー321(1992),T.Horiguchi,O.Nagai,and S.Miyashita). 3。連続スピンイジングAFTの有限温度での性質はまだよくわかっているとは言えない。MC計算によるとT_1=0。41J/kでKT型転移が存在し、それ以下でこの系はPD構造とフェリ構造が混じった特殊な秩序状態にあるとおもわれる。(CPCMP,1991年10月)。 4。層状イジングAFTのスピン構造がT→0でどうなるかよくわかっていない。この結晶内に低温で自由な1次元的鎖が存在するが、この鎖の第1励起状態がこの結晶の第1励起状態がこの結晶の第1励起状態である。自由な鎖が最も多いのはWannier構造ではなくてPD構造である。従って、zー方向の相互作用が小さい程、又zー方向のスピン数が多い程、より低温までPD構造が実現する筈である。MC計算は上の考えを支持している。(イジングマシン研究会、1991年12月)。
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