Research Abstract |
クラスタ-変分法とCAM理論を用いて,種々の系の臨界現象を調べる高度な方法を開発した.これには,計算機の使用に適したクラスタ-変分法のアルゴリズムの開発と,高度な数値計算が必要となるが,この両者を連係しながら進めた.さらに,ここで開発された方法を種々の複雑な系に応用し,CAM理論を用いて臨界現象を研究し,以下の成果を得た. 1.多変数空間(変数の数が100個を越える)に於ける停留値問題の効率的解法の開発 大量の変分パラメ-タを含む自由エネルギ-の停留値問題をニュ-トン・ラフソン法を基に効率良く解く方法を開発した.現段階で100個前後の変分パラメ-タを含むクラスタ-変分法の汎用プログラムの開発はほぼ終了し,種々の複雑な系への応用が可能となった. 2.クラスタ-変分法の変分パラメ-タの数を減らす新しいアルゴリズムの開発 3.上の結果の種々の複雑な系に対する応用と、CAM理論を用いた臨界現象の解析 (1)クラスタ-変分法を用いてピン相関関数を求め,CAMを用いて臨界指数η,νが得られる事を示した.更に,フラストレ-トした系のウィ-ク・ユニバ-サリティを調べた. (2)トポロジカル転移(Kosterlitz‐Thouless転移)を示す系への応用.クラスタ-変分法を三角格子上の6ークロックモデルへ適用し,CAMを用いて臨界現象を解析する事に成功した.これにより,クラスタ-変分法とCAM理論の種々のエキゾチックな相転移を示す系に対する今後の応用に興味が待たれる. 今後は種々の系に対する応用に重点を置いて行く.対象としては,フラストレ-トしたIsingモデル,ANNNIモデル,一般のSのIsingモデル,ポッツモデル,XYモデル,量子スピン系等があり,特に注目すべき点としては,連続一次転移,トポロジカル転移,カイラル転移,相互作用とユニバ-サリティ,量子スピン系の臨界現象等がある.
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