Project/Area Number |
03247203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白倉 孝行 東北大学, 工学部, 助手 (90187534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 史卓 東北大学, 工学部, 助教授 (90124627)
猪苗代 盛 東北大学, 工学部, 教授 (20005218)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1991: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | スピングラス / 交流帯磁率 / オ-ダ-パラメ-タ-分布関数 |
Research Abstract |
三次元±Jイジングモデルのスピングラス(SG)相について、現在いくつかの描像が提案されている。最近、SGの分子場モデルの低温相と類似なものであるとする描像(それをParisi相と呼ぶことにする)を支持するいくつかのデ-タが提出されているが、明確であるとは言い難い。そこで、三次元±JモデルのSG相がParisi相であるか否かに注目して、その動的性質を交流帯磁率の虚部Imχ(ω)の振舞いから、その静的性質をオ-ダ-パラメ-タ-qの分布関数P(q)から調べた。ここでは、+Jボンドの濃度pが強磁性側の多重臨界点近傍の振舞いに注目した。その理由の一つは、このモデルのSG相がParisi相ならば、分子場モデルで示されている混合相が期待されるからである。二つめの理由は多重臨界温度T_Cがp=0.5のSG転移温度よりも高いので、低温相の性質をMCシミュレ-ションで調べるには多重臨界点近傍の方が有利であろうと考えた。 まず交流帯磁率の結果は、多重臨界濃度よりも強磁性側の濃度(p=0.8,0.82)で,高温から温度を下げていくと、Imχ(ω)は常磁性一強磁性転移温度近傍で強い周波数依存在をもつ鋭いピ-クを示す。その低温で、Imχ(ω)は有限の大きさを保ち、周波数依存性を示さなくなる。この周波数依存在を示さなくなる現象は、p=0.5のSG相でもみられたもので、揺動散逸定理より磁化の揺らぎが1/fノイズスペクトラムをもつことを示す。このImχ(ω)の振舞いは、有限時間スケ-ルでの強磁性一混合相転移を示唆するものである。 オ-ダ-パラメ-タ-分布関数P(q)は、混合相では二つのピ-ク構造が期待されるが、p=0.785(強磁性側)の低温(T≧1.2J)での振舞いに二つのピ-ク構造を期待するものをみることはできなかった。p=0.75でT=1.2JでのP(q=0)のサイズ依存性から、SG相はParisi相を支持するものが得られているが、まだ断定はできない。 今後、p=0.5での低温相がParisi相の可能性が高いことが指摘されている四次元±Jモデルで混合相の出現の可否を調べ、三次元±JモデルのSG相と比較、検討してゆきたい。
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