競合する交換相互作用をもつS=1量子スピン鎖の基底状態及び低励起状態
Project/Area Number |
03247219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原田 勲 岡山大学, 理学部, 助教授 (10030785)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1991: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 1次元反強磁性体 / 量子スピン鎖 / 競合スピン系 / ハルディン相 / ストリング・オ-ダ-パラメ-タ- |
Research Abstract |
競合する交換相互作用は、古典的なネ-ル秩序を被壊し、量子力学的なある種の乱れた状態を有利にする。従って、量子揺らぎの大きい系の状態を議論するとき、この様な相互作用の導入が、系に新たな側面をもたらし、複雑な量子状態の理解を助ける場合がある。事実、1次元S=1/2スピン系では、最近接相互作用によるSpin Fluid相が、競合する第二近接相互作用により、Dimer相へと相変化することが私達の以前の研究で明らかにされた。1次元S=1スピン系では、最近接相互作用J_1のみの場合すでに乱れた状態、即ちHaldane相にある。この場合、競合する第二近接相互作用J_2はHaldane相を壊して更に新しい相を実現させるのか、あるいはHaldane相をより安定化させるのであろうか。私達は、S=1の有限スピン系(N<17)を厳密に対角化する方法を用いて、singletーtriplet energy gap,string order parameter,inverseーcorrelation lengthなどを求め、それらが第二近接相互作用とともに増加する事を確かめた。このことは、競合する第二近接相互作用がHaldane相をより安定化させる事を意味している。一方、スピン構造因子はj(=J_2/J_1)<0.35では波数q=Q=πで最大値をとるが、j>0.35になるとQはπからずれだし、jの増加と共にπ/2に漸近的にちかずく。この振舞いは、古典スピン系、S=1/2スピン系に共通であり、S=1Haldane状態との関連は明かでない。 鎖が端をもつ場合、その表面状態にHaldane状態の特色が反映される事が知られている。私達は交換相互作用にIsing異方性を加えた時、表面状態がどの様に変化するかを調べ、その事より、基底状態がHaldane状態からNeel状態へと変化して行く様子を調べた。この様な研究は、今後、希釈Haldane系の問題として、実験的にも、理論的にも解明されて行くであろう。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)