単一細胞レベルでの海馬内神経回路の三次元的構造解析
Project/Area Number |
03251209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石塚 典生 東京大学, 医学部(医), 助教授 (90126201)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | ラット / 海馬 / 錐体細胞 / 樹状突起 / 定量解析 / 層構造 / CA3 / CA2 |
Research Abstract |
ラット海馬CA2錐体細胞4個、CA3錐体細胞20個をHRP細胞内注入で染色し、各亜層(分子層、放線層、透明層、上昇層)への樹状突起分布量を計測し、CA2/3領域内の位置による分布様式の差異を調べた。 1)樹状突起の分布域、分岐様式、細胞体の大きさが類似していることからCA2・CA3錐体細胞を同群の大錐体細胞として考察した。CA2領域でも細胞体上に長い棘様突起を持つ大錐体細胞も観察され、CA2錐体細胞への歯状回入力(苔状線維終末)については今後の電顕的解析が期待される。 2)錐体細胞の平均樹状突起長は、CA1で13,424μm、CA2では15,406μm、CA3では12,482μmであった。CA3では領域内の位置によって全突起長と各亜層での部分突起長が大きく異なる。全突起長と上昇層の部分突起長は海浮釆付直部位で最大となり、CA2あるいは歯状回に近いほど減少する。分子層への樹状突起分布量はCA2で最も多く、歯状回に近く位置するほど少ない。歯状回門に隣接する細胞では、全く分子層へ樹状突起を出さない細胞も見られた。透明層への樹状突起分布量は歯状回側で最も多く、CA2に近いほど分布量は減少し、CA2では苔状線維を受ける棘状瘤を欠く。放線層への樹状突起分布量は位置による差が認められない。 以上のことから、CA2/3錐体細胞は分子層と透明層では逆方向の樹状突起分布量勾配が、上昇層には海馬釆付着部を中心にして両方向へ漸減する分布量勾配が在ることが判った。このことはCA3錐体細胞の位置により、各層へ特異的に分布する嗅内野(分子層)、歯状回(透明層)、内側中隔核(上昇層)からの興奮性入力の受容量にも同様の勾配が在ることが考えられ、CA2・3錐体細胞が歯状回からの情報をCA1領域へ中継する部位としてだけでなく、これら入力種の分析部位としての役割を担っていることも強く示唆される。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)