大脳皮質コラムの並列挙動の制御のための神経可塑機構の解明
Project/Area Number |
03251211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 清彦 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助手 (10172397)
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Project Period (FY) |
1991 – 1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 並列処理 / 大脳皮質 / コラム構造 / シナプス可塑性 / 報酬系 |
Research Abstract |
脳神経系は大量の感覚情報を最短スパイク間隔が数ミリ秒の神経細胞の回路によって処理し2・3百ミリ秒の応答時間で適切な行動を発現できる。この高速処理過程で実現されている神経演算機構を解明するために、大脳皮質‐視床下部系の数理神経回路モデルを構成し、その解析を通じて皮質連合野で実現されている高密度の並列処理機構を明らかにした。大脳皮質は複数の領野に分れ各領野は多数の皮質コラムからなる。各コラムは多数の錐体細胞とバスケット細胞を含む。各神経細胞の挙動をHodgkin‐Huxley回路で記述しこれを上記の神経解剖学デ-タに基づいて結合して得られる数理モデルで以下が成立することを示した。(1)各細胞集団が興奮性入力を受け始めてからスパイクを出し始めるまでに要する時間はその入力線維のシナプス伝達効率の大きさに応じてミリ秒単位で変化する。(2)この性質から、各領野で連合線維入力の伝達効率が最大であるコラムの錐体細胞集団が最初に発火し、その発火がバスケット細胞を通じて他のコラムの興奮を抑制することで各領野で数ミリ秒の応答時間で最大入力を受けるコラムのみが興奮する。(3)視床下部系からの報酬系入力によって制御される新皮質内のシナプス可塑性によって、報酬行動の繰返しが感覚情報を受ける感覚野コラムからの適切な行動を発現する運動野コラムへ至る経路上のコラムへの連合結合を選択的に強化する。(3)で強化される連合結合経路は(2)から各領野で適切な行動を導くコラムのみを数ミリ秒の応答時間で興奮させる。その結果多数の領野から成る大脳皮質全体の神経情報処理が2・3百ミリ秒の応答時間を実現する。現在上記系に連合野‐海馬回路を含めた系の神経回路モデルを構成し、この系が変化する外界の状態の1次記憶系として働く機構を解析している。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)