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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
ネコの赤核を介する古典的条件付けの無条件刺激である皮膚の侵害刺激が大脳ー赤核系に変容を与える経路の候補として脳内ノルアドレナリン投射の起始細胞である青斑核に注目し,これと大脳ー赤核路の刺激を組み合わせて前肢の屈曲応答を再現した.また,これまで知見の乏しかったネコでの青斑核ニュ-ロンの同定を電気生理学的および解剖学的に確立した上で皮膚刺激に対する応答特性を調べた。1.大脳ー赤核路の条件刺激(電流パルス)の120msec後に青斑核刺激を組み合わせた標本でのみ条件刺激に対する前肢の屈曲応答率が有意に上昇した。青斑核または大脳ー赤核路刺激の一方のみを与えたり,2刺激をランダム間隔または順序を逆転させて組み合わせても屈曲応答率は有意に上昇しない。すなわち,条件付けの成立条件は古典的条件付けと極めて良く一致し,2入力が順序と時間間隔を保って組み合わされることが必要である。2.ノルアドレナリン性ニュ-ロンの密集する青斑核の主核およびα核が刺激された場合に組み合わせ条件付けは成立し,下核や周辺の部位は有効ではない。3.青斑核ニュ-ロンは背側ノルアドレナリン束からの逆行性応答と免疫組織化学的に確認される記録部位から同定した。このように同定された上行性青斑核ニュ-ロンの軸索の伝導速度は2.4±0.7m/sec(n=13)皮膚刺激に対するスパイク応答はスパイクトリガ-法により逆行性応答とのcollisionを確かめた。皮膚刺激からの応答潜時は約20msecで,多くのニュ-ロンが四肢の全てに対して発火応答し発火頻度は2pulses/stim.以下であった。以上より,青斑核ニュ-ロンは侵害刺激の与えられた場所の情報よりもその有無を中枢に伝え,大脳ー赤核入力と組み合わせられたとき大脳ー赤核シナプスの伝達効率を亢進させると考えられる。
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