歩行運動制御系と小脳・大脳基底核の司塑性シナプスとの機能連関に関する研究
Project/Area Number |
03251224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有働 正夫 大阪大学, 健康体育部, 教授 (60009983)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 大脳基底核 / 黒質網様部 / ド-パミン / シナプス伝達 / 回転運動 / 定位歩行 / SCH23390 / GABA |
Research Abstract |
大脳基底核黒質緻密部にあるド-パミン産生細胞は、その軸索を線条体に投射する一方、樹状突起を黒質網様部に伸ばし、その樹状突起からド-パミン(DA)が放出されることがわかっている。また、黒質網様部ニュ-ロンのシナプス前終末・シナプス後細胞にはDA受容体が見いだされているので、黒質網様部内のシナプス伝達をDAが変調することが考えられる。また、一側の黒質網様部にムシモルを注入すると、対側に向かう回転運動が生じるので、ド-パミンがGABA作動性シナプスを介して定位歩行の可塑的変化に関与する可能性がある。 成ネコの黒質網様部に埋め込んだカニュ-レ(外径0.5mm)を通してド-パミンのD1遮断剤SCH23390(25μg/μ1)を1日1回、6日間にわたって注入し、DA遮断剤注入前後のシナプス伝達と回転運動を比較した。いずれの標本においても、黒質網様部ニュ-ロンの細胞外単一放電を記録し、同側上丘に刺入した双極電極の刺激により逆行性応答がえられたものを集めた。線条体刺激により黒質網様部ニュ-ロンに生じた興奮性応答(潜時4ー10ミリ秒)はSCH23390注入群の注入側において、興奮性応答の出現頻度が有意に増大した。このことは、DAが興奮性シナプス伝達の修飾に関与していることを示唆する。線条体刺激により黒質網様部ニュ-ロンに生じた抑制性応答の出現頻度は、対照群と比べて有意差はなかったが、抑制性応答の初めの部分には興奮性応答が重畳しているので、DA遮断剤によって抑制性応答はおこりやすくなったが、興奮性応答が重畳する率も高くなったので、抑制性応答の出現頻度は結果的には不変であったと解釈される。以上のように、線条体・黒質網様部のGABA作動性抑制性シナプス伝達および興奮性シナプス伝達がDAによって変調され、その変調が定位歩行の制御と関連する可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)