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¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
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Research Abstract |
p53遺伝子は癌抑制遺伝子と考えられており,大腸癌や乳癌などの固型癌において高頻度に両方のアレルで変異や欠失を生じることが明らかになっている。白血病の発症過程にp53遺伝子が関与している可能性を解析する目的でRT‐PCR法およびSSCP法を用いてp53遺伝子の変異解析を行った。変異の予想されるcDNA断片は直接シ-クエンス法を用いて塩基配列を決定した。その結果,50例の白血病症例中4例にp53遺伝子の変異が検出された。これらの4例では片方のアレルでのp53遺伝子の変異の変異と他方のアレルでのp53mRNAの欠損が明らかになり,p53蛋白の不活化が白血病の発症に関与している可能性が考えられた。骨髄異形成症候群は一種の前白血病状態と考えられているが,これらの症例についてもp53遺伝子の変異解析を行った結果,32例中3例にp53遺伝子の変異を検出した。これら3例はいずれも白血化に近い状態あるいは白血化した状態であったため,p53遺伝子の不活化と白血化の関連が予想された。 転座型白血病においてキメラ遺伝子が形成される疾患として,t(9;22)転座を示す慢性骨髄性白血病やt(15;17)転座を示す急性前骨髄球性白血病などが知られている。これらで形成されるキメラ遺伝子はこれらの遺伝子の接合点をはさむプライマ-を設定し,RT‐PCR法を用いて検出することができる。これらの系を用いてこの検出法の感度を検定したところ,白血病細胞がサンプル中に10^5〜10^6個に1個存在すればこれを検出しうることが示された。このような手法は白血病の治療後の微量残存白血病細胞の検出に有効であると考えられた。
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