Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
神経細胞の変性死に関する分子機構は依然不明であるが,線虫における分子遺伝学の研究から神経変性死に関する幾つかの遺伝子(degー1,mecー4)の存在が指摘されている.本研究はマウス神経細胞における変性死の分子機構を細胞生物学のレベルで解析することを目的として,線虫にみられる神経変性死に関与する遺伝子を発現する神経細胞株を樹立することを試みた.本年度は遺伝子導入によるマウス神経細胞株の樹立を第一の目的とした.P19EC細胞はレチノイン酸により神経細胞へと分化する過程で,cーjun遺伝子を24時間以内に発現する.われわれは,cーjun遺伝子を導入することにより神経細胞前駆体の細胞株(C2C5)を樹立することができた.C2C5は線維芽細胞様の分化の形態をしめし,EC細胞特異的マ-カ-であるSSEAー1を欠損しており,サイトケラチン陽性,ニュ-ロフィラメント(160kDa)弱陽性であった.一方,GFAP,ビメンチン,ミオシン陰性であった.この細胞株はTPAの作用により速やかに神経突起を伸展するとともに,ニュ-ロフィラメント(160kDa)を発現し,神経細胞へと分化することが判明した.このことは,cーjun遺伝子産物が神経分化を決定する遺伝子群の発現を活性化することにより,P19EC細胞を神経細胞の方向へと分化を誘導することを示唆していた.今後C2C5および分化した細胞に線虫みられる神経変性死の遺伝子degー1,mecー4遺伝子に対応するマウスの遺伝子をC2C5細胞に発現させることにより,これら遺伝子産物の機能,および神経変性死の分子機構を解析することを考えている.
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