Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
酵母液胞膜H^+‐ATPaseは分子量が凡そ500kDaの巨大な膜タンパク質であり,5〜8種のサブユニットからなる複合体を形成していると考えられる。昨年度までの研究により,3種のサブユニットの構造遺伝子のクロ-ニングを行ない,その塩基配列を決定した。VMA1(67kDa:触媒サブユニット),VMA2(57kDa:調節サブユニット),VMA3(16kDa:DCCD結合性膜貫通プロトン路構成サブユニット)はいずれもH^+‐ATPaseの活性発現とin vivo液胞酸性化に必須の遺伝子である。VMA1,VMA2,VMA3の欠失変異株(△vma1,△vma2,△vma3)の表現型がCa^<2±>感受性,非発酵性炭素源利用不能性(ClS^-Pet^-)であることを見出し,この表現型にもとづいて新しいVMA遺伝子群を探索した。このため,既に分離同定していたCls^-Pet^-変異株の液胞膜H^+‐ATPase活性,液胞のCa^<2+>輸送活性,液胞内部の酸性化活性を指標とする総合的なスクリ-ニングを行ない,また,vma1,vma2,vma3との相補試験を行なった。この結果,vma11,vma12,vma13変異が上記の活性欠損を引きおこすことを認めた。新規遺伝子VMA11をクロ-ニングし,その塩基配列を決定した。本遺伝子はアミノ酸残基164個よりなる疎水性タンパク質の構造遺伝子であり,VMA3遺伝子と56%の相同性をもつことが判明した。△vma11変異株はH^±ATPase活性を欠損しており,変異株より調製した液胞膜小胞にはVMA1,VMA2,VMA3遺伝子産物のすべてが欠損していた。このことは,この新しいプロテオリピド(VMA11遺伝子産物)がH^+‐ATPaseの機能性サブユニットの分子集合に必須であることを示している。
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