Research Abstract |
リソゾ-ム膜より,Mono Qカラム及びTSK‐gel G4000SW_<XL>を用いてH^+ーATPaseを精製することに成功.本酵素はSDSーPAGEで空胞系H^+ーATPaseに共通にみられるサブユニット構造を示し,至適pHは7.0ー8.0、CI^-,Br^-,F^-が活性化し、NO_3^-は強く阻害した。また,16kDaサブユニットに対するcDNAの単離,抗16kDa抗体の調製にも成功した。単クロ-ン抗体も調製できたが,インムノブロットには成功していない。更に,可溶化H^+ーATPaseを希釈法でリポソ-ムに組み込み,プロトン・ポンプ再構成に成功した。 一方,ATPaseII(360kDa)と細胞膜上のectoーATPaseの両者を単離して比較した結果,至適pHとCa^<2+>/Mg^<2+>要求性が若干異なるものの,その他の性質(二価金属要求性,基質特異性,薬剤感受性等)は両酵素で極めて類似していることが確認された。しかし,NEM感受性のATPaseI(550kDa)共々リソゾ-ムの内部に存在することが判明,顆粒運動(キネシン様ATPase),膜融合(NSF),蛋白質輸送との関係は否定された。 一方,クロフィブレ-トを投与したラットの肝臓ペルオキシゾ-ム膜上には,NEM感受性ATPaseとNEM非感受性ATPaseの2種類のATPase活性が誘導される。 NEM感受性ATPase(520kDa)はATPに対するKm値が780μMで,DIDS,STA,DCCD,TBT,quercetinに感受性を示した。一方のNEM非感受性ATPase(450kDa)は,STA以外の阻害剤に非感受性であった。NEM感受性ATPase(約270ー360kDa)はproteinaseーK耐性であり,また, NEM感受性ATPaseも抗PMP70IgGにより免疫沈降できないことから,両ATPaseともPMP70とは異なることが判明した。NEM感受性ATPaseはその薬剤感受性から基質輸送に働いている可能性が高い。これらのATPaseのが蛋白質の輸送に如何に関与するか,今後その可能性を明らかにしていきたい。
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