血管壁細胞ホスホリパ-ゼA_2の多様性と調節機構の解析
Project/Area Number |
03268209
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
|
Project Period (FY) |
1991
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | 血管内皮細胞 / ホスホリパ-ゼA_2 / アラキドン酸代謝 / プロスタサイクリン |
Research Abstract |
血管壁細胞のうち血管内皮細胞に注目し、そのホスホリパ-ゼA_2の性状と活性調節機構、及び生理現象への関わりを明らかにすることを目的とした。 1)ヒト培養血管内皮細胞(HUVEC)のホスホリパ-ゼA_2活性の検出とその同定:HUVECライゼ-トを酵素源としてホスホリパ-ゼA_2活性を測定したところ、比較的弱いながらアラキドン酸含有リン脂質を選択的に加水分解する酵素活性が検出された。本酵素活性は、抗ウサギ血小板85‐kDa細胞質ホスホリパ-ゼA_2特異抗体により効率よく吸収された。しかし、抗14‐kDaグル-プII型ホスホリパ-ゼA_2特異抗体とは全く反応しなかった。 2)細胞外グル-プII型ホスホリパ-ゼA_2のHUVECのPGI_2産生への効果:血液凝固時あるいは全身性炎症時いずれの場合も、血管内皮細胞は高濃度のII型ホスホリパ-ゼA_2に晒されて、細胞のアラキドン酸代謝への影響を受けることが予想された。そこで、HUVECについて、(1)未刺激の細胞、(2)トロンビン処理した細胞、(3)TNF処理した細胞をそれぞれ用いて、細胞外II型ホスホリパ-ゼA_2のPGI_2産生への効果を検討した。その結果、(1)酵素単独で処理した細胞は、酵素を添加していない細胞の約2倍のPGI_2を産生し、(2)トロンビン(2U/ml)存在下、細胞を10分間酵素処理したところ、相加的なPGI_2産生の亢進が観察された。更に、(3)ヒトリコンビナントTNFα(1,000U/ml)存在下酵素処理したところ、TNF単独あるいは酵素単独で添加した細胞と比べて著しく高い、相乗的なPGI_2産生が観察された。 以上より、ヒト血管内皮細胞でPGI_2産生に供されるアラキドン酸は、85‐kDa細胞質ホスホリパ-ゼA_2と細胞外II型ホスホリパ-ゼA_2によって産生されると予想された。後者は、他の刺激物質と協調して、血管内皮細胞のアラキドン酸代謝を調節しているものと考えられた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)