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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
培養ヒト血管内皮細胞のI型コラ-ゲン線維の形成について報告し,この線維形成の血管疾病発現における意義について考察する。培養ヒト臍帯内皮細胞には,細胞表面上に抗ヒトI型コラ-ゲン抗体を用いた間接蛍光抗体法で染色される線維様構造が観察された。この線維様構造はトリプシン処理による継代培養開始後3日的に内皮細胞の表面に細い線維様に見えはじめ,7日目にはさらに増大進展し,細胞表面から外側へ向かってあたかも毛糸玉のごとく成長した。各線糸の直径は0〜3μm,長さは0〜200μmに達する。しかし,全ての内皮細胞が,同時に,同様に毛糸玉のようになるわけではなく,個々で宿干その形成能に差がみられた。また,内皮細胞の形態と線維形成との間に関連があるようには見えない。この線維様構造は,成人末梢動脈内皮細胞や静脈内皮細胞でも細胞表面に同様に観察された。これに対し,培養ヒト血管平滑筋細胞では,細胞内が顆粒状に染まるだけで,内皮細胞のような細胞表面の線維様構造は観察されなかった。また,抗ヒトIII,IV,VおよびVI型コラ-ゲン抗体を一次抗体として用いた間接蛍光抗体法では,内皮細胞の表面には,この様な線維様構造は観察されない。内皮細胞を7日間培養し,これをbacterial collagenaseやTritonーX100で処理した場合,細胞表面に見られた線維様構造は消失した。培養液にβーaminopropionitrileを加え,内皮細胞を培養したところ,線維形成は阻害された。これらの結果から,この線維様構造は,培養ヒト血管内皮細胞の細胞表面に特異的に存在するI型コラ-ゲンであると思われる。動脈硬化の発症時には内皮細胞の剥離が起こり,I型コラ-ゲンをはじめとする間質コラ-ゲン線維が血管壁に直接暴露され,これに血小板やマクロファ-ジが粘着・凝集するとされている。しかし,生体内で血管内膜の表面にこの様な線維が既に形成されたいるとしたら,内皮細胞の剥離はなくても良い。
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