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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
ウンカはイネの葉面微生物を細胞内に選択的に取り込んで新たな共生関係を成立させ,さらに卵を通じて共生微生物を子孫に伝える。トビイロウンカとその細胞内共生微生物との相互認識に関する分子機構の基礎的知見を得るため,共生微生物菌体表面物質を抽出・精製してウンカ虫体成分との相互作用について調べた。 ウンカの卵から単離した細胞内共生微生物Enterobacter sp.NlーTーC1ー1Wを48時間培養後菌体を洗浄し,超音波処理して菌体を破砕した。細胞壁を精製し,1%オクチルβーDーグルコシドにより抽出した。抽出物をDETAーTOYOPEARL 650SおよびQーセファロ-スによるクロマトグラフィにより共生微生物の宿主認識物質を精製した。精製の各階段で得た菌体表面物質を酵素(西洋ワサビペルオキシダ-ゼ)およびテトラメチルロ-ダミンイソチオシアネ-トで標識し,ウンカ虫体凍結切片に対する結合活性を前者はペルオキシダ-ゼ活性により,後者は蛍光により測定した。 菌体表面物質の精製において,DEAEイオン交換クロマトグラフィにより4つの画分を得,そのうちI画分に結合活性を認めた。これをさらにQーセファロ-スにより精製した。このように精製した共生微生物の宿主認識物質は,ウンカのダ液腺細胞の一部や3胞細胞の一部など特定組識の特定細胞に特異的に結合した。これらのことから,共生微生物の細胞壁にはウンカ虫体の特定細胞と相互認識しあう物質が存在することが明らかになった。
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