Research Abstract |
平成4年度科学研究費補助金「重点領域研究」の候補研究領域として選定された「不活性小分子の活性化」に関する研究計画立案および準備を行なった。物質のうちで、特に有機化合物はその数と機能の多様性において圧倒的である。この有機化合物は炭素,水素,窒素および酸素などの元素からなる。本領域研究の目的は,この有機化合物の重要な構成元素である炭素および窒素を、地球上に豊富に存在する,あるには化石燃料の利用から派生する単純な小分子,窒素分子,二酸化炭素およびメタンから効率よく供給する物質変換法を確立することである。本領域では、不活性分子の種類により、「窒素分子の活性化と化学的利用」、「二酸化炭素の活性化と化学的固定・変換」および「メタンの活性化とそれを用いた有機合成反応」の3つの研究項目を取り上げ,さらにこれら小分子の活性化手法の開発を無機合成化学および固体表面化学の立場から強力に支援する目的で、「小分子活性化を目的とする金属クラスタ-錯体の合成」および「小分子活性化を目的とする固体表面の構造制御」の2つの研究項目を設けた。各研究項目について研究計画の具体的案を作成するとともに,全体としての研究計画打ち合せを行い,本研究領域の目標が達成できる機能的な研究組織を作り上げた。ここで取り上げる不活性小分子の効率的活性化の手法は多岐にわたるが,幅広い共通の基盤の上に立脚するものであり,有機金属化学,錯体化学,有機合成化学,触媒化学,電気化学,光化学などの研究者からなる強力な共同研究体制を確立した。
|