Budget Amount *help |
¥6,600,000 (Direct Cost: ¥6,600,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1991: ¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
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Research Abstract |
平成3〜4年度にわたって当初研究計画に沿って考察・設計を進めていた新しい装置概念にもとづく「OH夜光除去分光器」の開発・製作を行い,実際にそれを用いた,遠方銀河の赤外線観測を実施して,銀河の初期進化過程の観測的研究に重要な特徴ある成果を期待できるとの見通しを得た。 「OH除去分光器」は,平成4年10月までに組立調整を終え,11月にハワイ・マウナケア天文台において,ハワイ大学2.2m望遠鏡に取付けた試験観測を実施した。ただしこの時には天候条件にめぐまれず,望遠鏡とのマッチング等に関して十分な調整ができなかったため,平成5年3月に第2回目の試験観測を実施した。それによって所定の性能の確認と,幾つかのクエーサーを含む高赤方偏移銀河の赤外線分光・測光観測を行った。具体的には,望遠鏡とOH除去分光器光学系のアラインメントおよびOH除去分光器と撮像装置であるNICMOSカメラとの光軸調整の両方をほぼ完全に行った結果,全体としての効率を目標の値に近づけることができた(OH分光器のみのスループットを約30%にまで高められた)。また,OH夜光ラインの除去率も,Hバンド(1.65ミクロンバンド)で約1/20程度まで実現されていることがわかり,所期の性能に近い観測性能を確認した。3月の試験観測で実際にスペクトルや微光測光を行った天体は,2つの高赤方偏移クエーサー(Z22.5)をはじめ,NGC3690の超新星,球状星団の1つ:M3,赤外線銀河の1つ:Arp220等である。 これらの成果を背景に,平成5年度には更に本格的な観測を十分長い観測時間を確保して行うことを,ハワイ大学側共同研究者と合意している。これにより,高赤方偏移銀河の分光観測が行われ,銀河の初期進化についての情報が得られるものと期待される。
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