Research Abstract |
びわ湖野洲川河口あやめ浜附近(136°E,35.2°N)の帯水層構造は水資源公団で調査され,湖底砂層厚は約8m,その下は粘土層のようである.1987年8月にあやめ浜沖約60m平均水深1.5mの地点に,湖水位,湖床面下1,2,3m深の地下水頭観測井を設置し,1992年3月に当研究補助金を受けて6m深観測井も打ち込み,これら観測井の水位を10分間隔,土1mm精度でディジタル自記々録を続行している.この自記々録をみると,湖水位は降雨による非周期的変動と靜振による周期約1時間の振動と風波による周期数秒の振動の重塁によって変化しているようである.降雨による変動は1,2,3,6m深によく伝わり,各深の地下水頭は湖水位変動とほゞ平行するように昇降しているが,靜振や風波による振動は2m深でわづかに認められ3,6m深では有意に伝わっていない.この振動伝播を弾性帯水層理論で解析し,観測結果によく適合する湖底砂層の透水係数3×10_<-3>cm/s,砂粒塊圧縮率6×10_<-2>/atmを得た.地方,3,6m深地下水頭には半日周期の振動が明らかに認められ,その振巾は3m深で3〜5mm,6m深で6〜10mmのようで,深くなる程振巾は大きいように思われる.観測地点周囲半径約2Km内に大きな揚水井は存在しない.この半日周期振動を波動伝播と考えれば振動源は湖底深部に求めなければならないが,これは考にくいので,湖底砂層8m厚の地球潮汐的伸縮に起因すると考え,3,6m深水頭記録を3日(データー数432ケ)で移動平均し降雨による変動を除いた記録について,降雨のすくない期間を択びデーター数2_<13>ケでFFT分析した.結果は残念ながら,S_2分潮の振巾の方がM_2分潮のそれより数倍大きい.このS_2分潮を起こす原因は今のところわからない.この原因を探りこの振動を除いたあとの整理記録について再度M_2,S_2分潮のFFT分析を実施し,興味深い湖底砂層の地球潮汐的振動を明らかにしたいと考えている.
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