Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
ウシの胚移植技術が開発されて以来,過排卵処置,採卵,胚の保存及び移植等の一連の技術の進展には目ざましいものがあるが,受胚牛を選定するための卵巣・子宮等に臨床診断技術の確立が遅れているために,胚移植の受胎率は平均的に50%程度であり,その普及は不十分である。本年度も昨年度に引続き,この胚移植普及上の大きな問題を解決するため,正常受胚牛の簡易で精度の高い診断法を作出する研究を行った。 研究の材料には,野外での実用性が高い診断法を作出するため,酪農家に飼育され人工授精又は胚移植に供された乳牛から,われわれが既に開発した直腸検査法を主体とする生殖器臨床検査法により記録した発情(授精)時,黄体初期5及び7日の卵巣・子宮・腟等の臨床的所見データと,更にこれらと同時点の各個体から採血して測定した血漿中プロジェステロン及びエストラジオール濃度データを用いた。これらのデータは,数量化理論I及びII類の質的データ解析モデルを利用して分析した。 その結果,子宮の太さ・子宮角断面形状・収縮性・壁の肥厚度・内部貯留物の有無,子宮頚管の太さ・長さ,外子宮口の大きさ,腟充血の有無,外陰唇の形状,卵巣の黄体の形成状態等,13項目の臨床的所見情報を総合化して胚移植の可又は不可を判定出来る判別方程式が得られた。すなわち,発情後5日で正常受胚牛を選定する判別式を用いて受胚牛を選定し,2〜3日後,これらに胚移植を行った場合の推定受胎率は82.8%,発情後7日で受胚牛を選定する判別式を用いて正常受胚牛を選定し,当日又は翌日,これらに胚移植を実施した場合の推定受胎率は86.2%であった。また,発情後5日に判別式による診断で異常と判定され,hCG剤等の投与により治療し,7日の時点で正常な状態に改善されて移植可能牛と判定されるものがあることも判明した。これらの結果は,胚移植における受胚牛選定に十分応用出来るものと考えられる。
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