Project/Area Number |
03610026
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fine art history
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岸 文和 近畿大学, 教養部, 助教授 (30177810)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1991: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 浮絵 / 鳥居清忠 / 幾何学的遠近法 / 平行遠近法 / 遠近法 / 奥村政信 / 浮世絵 |
Research Abstract |
江戸の中期に、「西洋画」に固有な「幾何学的遠近法」と、日本の伝統的な「平行遠近法」とを併用する「浮絵」が誕生した。本研究では、この「浮絵」がどのような歴史的過程を経て、浮世絵の一ジャンルとして確立されるに至ったかについて、次のことを明らかにすることを試みた。 1.浮絵の創始期については、文献の上では、「元文太平記巻第四目録」(『続談海』、内閣文庫)の調査によって、元文四年(1739)五月以後の可能性が高いことが判明した。 2.浮絵を特微づける「械何学的遠近法」の手本の流入経路については、幕府側の資料(『柳営日次記』など)とオランダ側の資料(『江戸参府日誌』、東京大学史料編纂所)を調査した。結果的に、浮絵の刺激となった「西洋画」の舶載は確認できなかったが、これによって、中国経由での「西洋風絵画」の影響の可能性が高まった。 3.中国から舶載された漢訳洋籍のうち、年希尭『視学精蘊』については、それが「劇場」の透視図(作品の上では、寛保三年(1743)十一月中村座での「艤貢太平記」を描いた奥村政信画「芝居狂言浮絵根元」が最も早い作例である)を掲載していることによって、浮絵の淵源のひとつである可能性が確認された。 4.鳥居清忠に帰されている「大大判浮絵」のうち、「浮絵劇場図」(リッカ-美術館)は延享元年(1744)、「吉原大門口浮絵」(シカゴ美術館)は寛延三・四年(1750・51)の作であることが判明したが、「大川端座敷遊興の図」(太田記念美術館)は制作年不明、「新吉原仲ノ町大文字屋座敷」(大英博物館)は奥村政信作。 5.鳥居清忠の作品は、奥村政信よりも「深い」幾何学的遠近法の理解を示しているように見えるが、その空間構成を詳細に検討したところ、予想以上に、伝統的な平行遠近法との親近性が深いことが明らかになった。
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