Project/Area Number |
03610152
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 凱宣 名古屋大学, 教養部, 教授 (40111091)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | アイヌ文化 / アイヌ博物館資料 / ジョン・バチェラ- / 物質文化研究 / 北海道南部 / フランツ・ボアズ / プラニスワフ・ピウスツキ- |
Research Abstract |
ジョン・バチェラ-はアイヌの間で活動した聖公会所属の宣教師である。1882年以来、アイヌ文化に関する多数の論文・著書を発表している。今世紀初頭から第一次世界大戦までの間に、アメリカのF・スタ-(1904、1910)やS・キュリン(1912)の北海道南部におけるアイヌ資料の収集に協力した。さらに、1903年にはポ-ランドのシェロシェフスキとピウスツキのアイヌ調査にも協力した。 バチェラ-が収集に関与した、学術情報付つきのアイヌ資料は、ブルックリン博物館(約800点)、ロ-ガン博物館(約70点)、大英博物館(約30点)に保管されている。そのうち、ブルックリン資料の一部と大英博物館資料の全部が、彼自身のコレクションである。アイヌ資料の収集にバチェラ-が関与していたことは、今まで学界には知られていなかった、新しい学史上の事実である。 アイヌの伝統的な生活様式は明治末までは北海道南部で維持されていたと考えられ、バチェラ-の資料収集への関与はまさにその時期におこなわれた。この時期はF・ボアズの主案した「ジェサップ北太平洋調査」の直後に相当し、アメリカ人類学の発展期にもあたる。それらのことは、北海道南部における北米関係者の資料収集の努力は偶発的な出来事ではなく、アメリカ人類学界全体の研究活動の一部であると解釈できる。 ほぼ同じころ、日本の人類学研究者もアイヌ文化の調査を実施しているが、北海道南部のアイヌ資料はごく少数しか収集されていない。さらに、学術情報の付された明治時代のアイヌ資料は、日本の研究機関には少数しか保管されていない。バチェラ-が収集に関与したアイヌ資料はアイヌの伝統的文化、なかでも物質文化の解明に重要であるだけでなく、アイヌ文化の研究史を再考するための重要な手がかりとなろう。
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