明清時代における貨幣諸手段の地域的展開過程に関する研究
Project/Area Number |
03610190
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Asian history
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
足立 啓二 熊本大学, 大学部, 助教授 (70128247)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 銭 / 銀 / 国家的支払い手段 / 流通手段 |
Research Abstract |
商品経済の発達によって、銭から銀へと貨幣手段が変化する時期として把えられてきた明清時代について、貨幣と市場を直結させる理論的前提を除いた上で、貨幣諸手段の変化を、地域的・時間的に追跡し、それによって、この期における貨幣手段の展開と貨幣機能の展開を明らかにすることが本研究の課題であった。本研究により、以下の点が明らかにされた。(1)15世紀中葉より、明王朝が銀財政へ移行することと対応しながら、全国的に銭流通が混乱すること。銭流通解体は、国家が国家への支払い手段として銭を用いることを否定したためと、当時より認識されていたこと。即ち、この期の銭流通解体は、銭の国家的支払い性の解体によること。(2)これ以後、銭は、沿海先進地帯において、国家支払いと離れた民間の流通手段として機能したこと。その際、特定地域内において特定銭が、該地の金融業者の信用の裏付けのもとに流通する形をとったこと。他方後進地方では、布・米・塩・子安貝等に加えて低品位の銀が、素材への直接的信任にもとづく「現物貨幣」として流通したこと。(3)明代では先進地にとどまっていた銭流通が、低品位銀も含めた現物貨幣を駆逐しながら拡大していく時代が清代であり、18世紀の前半にこの転換点が存在すること。この期の銭は、国家ほの支払いによって裏付けられていなかったこと。同時にこの時期、従来の先進銭行使地を中心に、銀鋳貨の個数支払いが広まること。 以上が、明清期中国における貨幣諸手段の地域的展開過程の概要である。更に、この中国における貨幣史的展開が、その影響のもとに、同時期の日本においても、ほぼ同様な形でみられることが、明らかとなった。金融・商業形態との関りでみるなら、以上のように市場にもとづく貨幣の形成が通説よりも遅れることに照応する諸現象が、各地で確認される。この点は、いま少し資料の整理を続け、まとまった形で公表したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)