Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
この研究は,土器の材質を自然科学的方法によって分析し,製作地の同定,原材料の選択およびその意図,製作技術の変遷を明らかにすることを目的としており,本年度はとくに土器の製作地の同定と,土器の材質の時代により変遷をたどることにしぼっておこなった。 1.土器の製作地の同定:縄文土器では,大阪府小阪遺跡の早期から晩期の土器について実施した。含まれる岩石鉱物の種類と含有量の上から2種の胎土に区分でき,これは螢光X線法による含有元素量の区分とも一致した。このうちの一種が小阪遺跡へ運ばれた土器であるかは今後の課題である。この成果は,大阪文化財センタ-編『近畿自動車道松原海南線および府道松原泉大津線建設に伴う発掘調査報告書ー第1集・小阪遺跡ー』に執筆し,現在印刷中。埴輪については,奈良市管原東遺跡の埴輸窯の調査によって,その製品の古墳への供給関係が問題とされ,奈良盆地内の同時期にあたる5つの古墳出土の埴輪との胎土の比較をおこなった。その結果、奈良盆地で唯一の発見例であるこの窯跡のほかに,埴輪を供給した末発見の製作地の存在する可能性が明らかになった。 奈良市文化財センタ-編集による管原東遺跡の発掘調査報告書に執筆し,現在印刷中。 2.土器の材質の変遷:縄文土器・弥生土器・土師器について,材質および製作技術の変遷をそれぞれの原材料の差から導く分析をおこなった。土器のプレパラ-トを作成し,偏光顕微鏡によって胎土中の粘土と砂の区分をし,土器胎土中に占める人為的に加えた混和材としての砂の比率を求める方法をとった。これによって,時代の変化とともに器種による原作料の使い分けが明瞭になるという結果を得た。詳細は,『京都大学構内遺跡調査研究年報』の記要に「土器の器種と胎土」として執筆し,現在印刷中。
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