ヨ-ロッパ思想に占めるバッハオ-フェン『母権論』の意義に関する総合的研究
Project/Area Number |
03610249
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
独語・独文学
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 信行 新潟大学, 教養部, 助教授 (40018578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 充 新潟大学, 教養部, 助教授 (60105228)
桑原 聡 新潟大学, 教養部, 助教授 (10168346)
三浦 淳 新潟大学, 教養部, 助教授 (70134905)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | バッハオ-フェン / ヨ-ロッパ思想 / 母権と父権 / 女性支配 / 神話伝承と宗教 / コスモスと象徴 / 大地と天空 / 闇と光 |
Research Abstract |
私たちは、バッハオ-フェン『母権論』が大著で、影響力が大きく、想像力と学問的思考をかき立てるとの理由で、その全面的、総合的研究を目指している。 今年度、全員参加の輪読研究会(毎週、あるいは集中)による読解と訳稿の作成は、第五章「エジプト」(原著約200頁)の約3分の1まで進み、第三章「アテナイ」(その二)と第四章「レムノス」の研究紀要発表と、第1部として序説・第一章「リュキア」・第二章「クレタ」までを本にまとめ、出版する(予定5月)ところまでこぎ着けることができた。 この大著のもつ該博な知識と示唆にとむ内容から、歴史学、哲学など関連する多くの学問分野を厳密に調べること、またドイツ文学・思想など自己の専門分野との対話に関しては、一定程度の成果を挙げることができた。例えば近代の主知主義批判として、自由な感情と宇宙の無限との合一、祝祭と幸福の「開かれた生」(A.シュ-ラ-)、「母」に媒介された「極性を帯びた全体」と生きた「形象」の流れ(L.クラ-ゲス)は各々に、バッハオ-フェンの先史母権制とそのヘテリズムを下敷にしている。「太古の世界」(W.ベンヤミンのカフカ論)はそのままバッハオ-フェンの沼沢地動植物に通じている。同様に小説家ト-マス・マンは「エジプトのヨセフ」で沼沢地生殖を人間の根源的あり方として提示した。 Fragmenta Historicorum Graecorumなど重要な参考文献を収集し、研究に役立てることができた。 しかし同書のもつ光と輝きー神話的・段階発展論的思考、象徴的・宇宙的解釈、女性支配社会・フェミニズム等、どのような観点によっても、また歴史学、神話学、言語学等、どの分野の研究によっても、覆い尽くしきれないーを究める地点からは、私たちはまだはるかに遠いところにいる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)